第1期生が看護師国家試験合格率100%を達成!

第1期生が看護師国家試験合格率100%を達成!
岐阜聖徳学園大学看護学部は、2015年に開設された新しい学部だ。 19 年春に卒業した第1期生は看護師国家試験合格率100%を達 成した。この教育力の高さの秘訣は、豊富で多彩な実習施設や独 自のカリキュラムなど、万全な支援体制にあるという。その内容 について、専任講師の小平由美子先生に聞いた。


―まずは、看護学部の紹介をお願いします。

本学は、「平等」「寛容」「利他」を建学の精神として掲げています。2015年に設置した看護学部もこの教えに基づき、心の教育を基盤として深い人間理解と高い倫理観を備えた看護専門職として、社会に貢献できる人材の養成をめざしています。

19年春に第1期生が卒業しました。卒業生56人は全員が第108回看護師国家試験に合格し、実就職率も100%となっています。特に国家試験全員合格は学部開設時からの大きな目標でしたので、学生たちの努力および大学の教育の成果が表れたものとして嬉しく思っています。

―第1期生から早速結果が出たのは素晴らしいことですね。国家試験合格率を高めるためには、どのような取り組みが必要なのでしょうか。

学生一人ひとりに合わせて、全員合格に向けた丁寧な個別対応を重視しています。1年次から国家試験対策の専属教員を配置しているほか、担任教員やゼミの教員が学生をしっかりと指導します。各学生の個人成績や自己学習状況などを全て表、グラフにして可視化し、学習の達成度を学部全体で把握しながらフォローしています。

―丁寧な指導と、それに応える個人の地道な努力の結果ということですね。国家試験合格を確実にするためには、相当多くの学習量が必要なのでしょうか。

看護学部は厚生労働省の指定規則があるため、実習や講義など、卒業要件を満たすまでの学習量が多くなっています。加えて国家試験や就職試験は4年間の積み重ねが重要です。1年次から国家試験対策講座やマナー講座などのキャリア支援に力を入れています。

本学では、大手予備校と提携し、模擬試験や集中講座なども豊富に取り入れています。その意味では、大学が提供する学習量は確実に多いと思います。ただ、大学は社会人に向けての準備期間とも捉え、学生の自主性も重視しているので、強制ではありません。その分、学生が学習でつまずいたときに、学生個々の要望を取り入れた効果的な学習方法を提案するなど、サポート体制は十分に整えられています。

―実際に国家試験を受けるのは学生自身ですから、自主的に学習する姿勢は重要ですね。

学生たちの自主性の高さを象徴するのが、「看護師国家試験対策学生委員会」です。これは学生が主体的に組織する団体で、自ら目標を立ててスケジュールを組みながら定期的に勉強会を開催し活動しています。「全員で勉強して、全員で国家試験に合格しよう」という意識が合格率100%を実現させたのかもしれませんね。

―実習についても教えてください。新設の学部ということで、実習先の確保に苦労はありませんでしたか。

看護学部は確かに新しい学部ですが、本学には教育大学として50年近くの歴史があります。数多くの教員を輩出してきた実績を認められてか、幸いなことに多くの実習先に受け入れていただいています。

代表的なところでは、国公立大学の医学部附属病院や、県立の総合医療センターなど。その他、総合病院、専門病院、訪問看護ステーション、保育所、介護老人保健施設など、県内を中心に近隣県のさまざまな医療機関と提携し、幅広い実習施設を用意しています。

―多彩な医療現場に触れることができそうです。

医療現場も本当に多様化していますからね。国際化にも対応するため、選択科目で海外研修も実施しています。3年次の夏季休暇期間中に2週間、オーストラリアにホームステイをしながら健康や医療に関する語学研修、高齢者介護施設の見学、現地の看護学部生との交流などを行います。国際的視野で看護を考えるきっかけにしてもらいたいと考えています。

―就職についてはどうなっていますか。

かつては4年制大学出身の看護師であれば無条件で就職できた時代もありましたが、今は履歴書や小論文・面接など、きちんと準備しなければ難しくなっています。

しかし、本学では先行する各学部とも高い就職実績を残しており、その中で培ってきたノウハウがあります。看護学部でも大学の就職課の協力のもと、そのノウハウを活用できることは、大きなアドバンテージになっています。特に教育学部での教員採用試験対策を応用した就職対策は大きな強みです。就職先としては大学病院や市民病院など、最初は大きい病院をめざすよう指導をしています。

―看護師の国家資格は短大や専門学校でも取得することができます。大学で学んだ場合とどのような違いが出てきますか。

短大や専門学校は、看護の技術を身につける場という性質が強くなります。そのため、新卒時点では短大や専門学校卒の看護師の方が高い技術をもっているということも珍しくありません。

一方で、大学は看護学という学問を修める場です。知識や理論、一般教養、看護に必要な研究など充分身につけていれば、患者さんの状況を把握しながら根拠に基づき、より良いケアを提案できる優れた医療者になります。技術に関しては、医療の現場で働き続けることで自然と追いつくことができるので、焦らないようにと学生たちには伝えています。

―最後に、高校の進路指導の先生へメッセージをお願いします。

看護師業務は年々多様化・複雑化しています。この流れに対応するため、厚生労働省は将来的には看護の基礎教育を4年制化する方針を打ち出しました。つまり、近い将来、4年制の大学を出ていないと看護師になれなくなります。

現在はまだ短大や専門学校でも看護師になることができますが、進路に迷っている生徒がいるのであればぜひ大学進学をお勧めして欲しいと思います。

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