イメージや知名度にとらわれない大学探し

イメージや知名度にとらわれない大学探し

※以下の記事は大学通信社発行の専門誌「ユニヴプレス」で紹介されたものです。

2019年現在、全国には586校もの私立大学がある。とはいえ、例年の志願者の動向(一般入試)を見ると、そのうちの80%超が上位100大学によって占められているのが現状だ。また、エリア毎の志願者専有率は関東地区、関西地区を合わせて80%を超える状況が続き、大都市圏への志願者集中は止まらない。しかし、一方で地方の小規模大学でありながら独自のカリキュラムや親身な学生サポートがキラリと光る大学も少なくない。その中から今回は岐阜県にある岐阜聖徳学園大学を紹介しよう。

(文/大学通信社)


小学校教員就職者数が 全国私立大2位の実績を誇る教育学部

もともと、教員養成を目的とする「聖徳学園岐阜教育大学」としてスタートした同大の看板学部は教育学部。18年度の小学校教員就職者数は225人にも上り、これは全大学中4位(私立大2位)の実績だ。さらに教育学部における教員就職率は76%と、国立大の教員養成課程の平均である67%を大きく上回り、国立大上位と比較しても遜色のない数字を残している。(※図1/岐阜聖徳学園大学提供資料)

 毎年、高い教員就職実績を実現している理由の一つは、40年以上に渡って蓄積されたノウハウだ。専門学校と連携した教員採用試験対策講座や元校長・教育行政経験者による二次試験対策(面接・実技)といった一般的な対策はもちろん、10以上の都県の教育委員会の採用担当者を大学に招き、各地の試験の仕組みや特徴、教育方針などを解説してもらうといった取り組みも行っている。

 また、全国有数の教員養成系大学として同大が持つ「伝統の力」も大きい。教育現場からの厚い信頼を受け、現在の協定校は全校種を合わせると400校弱。豊富な協定校の存在は少人数での教育実習を可能にし、結果的に学生は教育の最前線で充実した指導を受けられる。学校との強い結びつきから教育実習以外でも希望すれば気軽に教育現場を訪問できるというのも同大ならではの強みだろう。

 こういった伝統からか学生の意識も高く、教員採用試験前には学生同士で図書館で勉強をしたり、空き教室で面接の練習をしたりする光景が学校のいたるところで見られるという。充実した試験対策と教育現場で身につけた実践力、そして学生の熱意が教育学部の高い実績を支えているのだ。

経済情報学部と外国語学部の実就職率はトップクラス!

教育学部に続いて設立された外国語学部と経済情報学部も堅実に成果を積み重ねている。特に目に止まるのが学部の実就職率だ。大学通信の調査による19年3月中の状況をみると、経済情報学部は学部別実就職率(経済系)ランキングで全国4位、外国語学部は東海地方の私立大(文・人文・外国語系)で6位にランクインしている。(図2/学部系統別実就職率)

 ランキング上位に入る両学部の強みの一つが熱心な就職支援対策。就職課の教職員と外部講師が連携しながら、自己PRや志望動機の添削、模擬面接などを学生個人が納得するまで行うという。

 約200社が参加する学内合同企業説明会や内定者報告会など、学生の意欲を高めるイベントも豊富だ。中でも特徴的なのが3年次の冬に行われる就合宿。希望制でありながら毎年多くの参加者が集まるこの合宿では、内定者や外部講師からエントリーシートの作成や模擬面接などの「就活スキル」を泊まり込みで学ぶことができる。スキルの向上はもとより、早い時期から就活を意識させることのメリットは大きいだろう。

 もちろん教育面においても経済情報学部では少人数のゼミをベースに地元企業との産学連携やデータサイエンスを幅広く学べ、外国語学部では4年間にわたる継続的なTOEIC対策のほか、19年からは新入生の全員留学プログラムをスタートするなど時流を捉えた進化を続けている。

看護師国家試験合格率100%を達成した看護学部

15年に開設した看護学部は、第1期生ながら全員が19年の看護師国家試験に合格した。看護学部では1年次から国家試験対策やマナー講座などのキャリア支援に力を入れているだけではなく、学生が学習でつまずいたときに、教職員が個々の要望を取り入れた効果的な学習方法を提案するなど、一丸となったサポート体制が整っていることが結果につながった。

 初めての卒業生ながら実績を残せた背景には、教育系の大学として同大が積み上げてきた伝統も大きな支えになっているという。開設当初から実習先として、国公立大学の医学部附属病院や、県立の総合医療センターをはじめ、総合病院、専門病院、保育所、介護老人保健施設など、県内を中心に近隣県の様々な医療機関と提携できたのも、同大に寄せられる信頼があってこそ。豊富な実習先での経験は学生の視野を広げることにつながり、学生自身がキャリア形成を考える上でその意義は大きいだろう。

 もちろん、先行する各学部が高い就職実績を残す中で培ってきた就活のノウハウを活用できることも大きなアドバンテージの一つだ。特に教育学部の教員採用試験対策を応用した就職対策は強みとなっている。

 今回、紹介した岐阜聖徳学園大学の他にも各地域にはキラリと光る大学が数多くある。入試改革や大学入試の難化など先の見えない状況が続いている今だからこそ、知名度やイメージを一旦脇に置いて幅広い視野から大学を見直すのも良いかもしれない。

※本記事はユニヴプレスVOL20に掲載

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